シガーの豊かな風味を味わう方法

シガー愛好家の間では、「テイスティングノート」に意味があるのかどうか、よく議論になります。
ワインやウイスキーのように「シダー」「コーヒー」「レザー」「スパイス」といった表現を使う人もいれば、「シガーはタバコと煙の味しかしない」と考える人もいます。
どちらの立場にせよ、一つ確かなのは:同じシガーでも、人によって、また吸い方によって、まったく違う味わいになるということです。ここでは、シガーの風味をより深く引き出すためのコツをいくつか紹介します。
1. 味覚をリセットする
食後すぐに吸うと、舌が鈍って風味を感じにくくなります。シガーを楽しむ前に口をさっぱりさせましょう。
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飲み物:水、炭酸水、ブラックコーヒー、または薄いお茶。
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軽食:レモンソルベ、ダークチョコレート、ナッツ、塩気のないクラッカー。
多くの愛好家は、チョコレートやナッツをつまみながら吸うことで、味覚を整えています。
2. 点火前に「コールドドロー」
カットした後、火をつける前に数回吸ってみましょう。これを「コールドドロー」と呼び、シガーの潜在的な風味を事前に確かめることができます。
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ブロードリーフ:甘く濃厚。
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エクアドル・スマトラ:木質とレザー感。
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キューバンシード:スパイシーでレザー。
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コネチカット・シェード:ナッツとクリーミー。
3. レトロヘイルを試す
味覚と嗅覚は密接に結びついています。レトロヘイルとは、煙を肺に入れず、口から鼻に押し上げて鼻孔から吐き出す方法です。
これにより、シガー本来の香りやスパイス感がより鮮明に感じられます。
4. ペアリングを楽しむ
シガーとお酒の組み合わせは、両方を引き立てる伝統的な楽しみ方です。大切なのはバランス。調和させる場合もあれば、コントラストを楽しむ場合もあります。
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相性が良い例:Ashton ESG × Balvenie 14年 カリビアンカスク。
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対比を楽しむ例:La Aroma de Cuba Mi Amor の濃厚なスパイス感 × モヒートの爽快さ。
ただし、一方が他方を圧倒してしまう組み合わせは避けましょう。たとえば、繊細なコネチカット・シェードは、強烈なピート香のラフロイグには負けてしまいます。
5. ゆっくり吸う
急ぎすぎると、せっかくの風味が台無しになります。45秒〜1分半に1回のペースで吸うのが理想です。
灰を2cmほど残しておくと、燃焼が安定し温度も上がりすぎません。
シガーのサイズによって時間は異なります:
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コロナ:30〜40分
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ロブスト:45〜50分
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チャーチル:1時間以上
時間がないときに大きなシガーを無理に吸うのは避けましょう。
6. テイスティングノートはあくまで参考
よく使われる風味表現には次のようなものがあります:
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ナッツ系:カシューナッツ、アーモンド
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甘味:カカオ、モラセス
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ウッディ/ハーバル:シダー、ヒッコリー、草
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自然系:土、レザー
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スパイシー:黒胡椒、シナモン、カイエン
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コーヒー系:エスプレッソ、カプチーノ
ただし、味覚は非常に主観的です。これらの表現は「地図」のようなもので、新しいシガーを選ぶ参考にはなりますが、絶対的な基準ではありません。
結論として、シガーの楽しみは煙そのものだけではなく、味覚を整え、点火前の期待を抱き、ゆっくりと味わい、そして自分に合ったペアリングを見つける――その一連の体験全体にあるのです。